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ビル・ゲイツ初期の経歴を再検証 --- Part26

 続いて、
ジェームズ・ウオーレイス&ジム・エリクソン著 「ビル・ゲイツ―巨大ソフトウェア帝国を築いた男」翔泳社
を見ていきます。

 本書の冒頭に書かれている謝辞によると、この本の情報源は、マイクロソフト関係者150人以上へのインタビューのほか、先の「マイクロソフト―ソフトウェア帝国誕生の奇跡」を含む20以上の書籍・新聞・雑誌であるということです。
 情報源が豊富であることは、先の「マイクロソフト―ソフトウェア帝国誕生の奇跡」との違いです。

 ただ、文中の個々の記述について、情報源が何かは明示されていないことが多く、
場合によって、誰の発言であるかが書かれているのみです。

・なぜGEが他社のDEC製PDP-10を時間貸ししていたのか

 これについては、以下の記述があります。
P27:レイクサイド・スクールは、この新しい、胸おどるコンピュータの世界を、生徒たちに体験させることを決めた。

P27:そこで学校は、比較的経費のかからないテレタイプマシンを買い入れた。料金を払えば、命令をテレタイプで入力し、電話回線を通じて、シアトルの中心街にあるPDP-10に送信することができた。

P28:レイクサイド・スクールが使用していたPDP-10は、ゼネラル・エレクトリック社の所有で、この会社は生徒たちがコンピュータを使う時間、すなわち「コンピュータタイム」使用料をレイクサイド・スクールに請求した。
 PDP-10とはっきり書かれており、1次文献に書いてあるGE-635と矛盾しています。
また、テレタイプ端末を購入したという記述は、1次文献に書いてあるテレタイプ端末をリースしたという記述と矛盾しています。

・ビル・ゲイツら数人の生徒が、コンピュータの利用料をすべて使ってしまったことに、他の親は文句を言わなかったのか

 これに関して、答えになるような記述はありませんが、関連する事項として以下の記述があります。
P29: ゲイツはたちまち虜になってしまった。

P30:コンピュータに対する飽くことを知らぬ欲望は、ひどく高くついた。母の会が集めた3000ドルの大半が、数週間で使い果たされてしまった。あげくの果てに、両親たちに頼み込んで、ゼネラル・エレクトリック社からレイクサイド・スクールへの山のような請求書に書かれた代金を払ってもらうはめになった。

 これは、1次文献には書かれていない内容です。また、「パソコン創世記」の記述と異なり、両親に代金の一部ではなく全額を払ってもらったと読めますし、ビル・ゲイツとポール・アレンの親だけに払ってもらったのではなく関係している生徒の親全員に払ってもらったと読めます。

・レイクサイドスクールから超過分の利用料の支払いを求められたビル・ゲイツの両親たちは何も言わなかったのか

 これに関しては、特に記述はありません。

 ただし、CCC社が倒産した後のこととして、
P46: 息子に、少なくとも、しばらくはコンピュータと縁を切るように命じた。

P48: ゲイツは、コンピュータから9カ月遠ざかった後、ふたたびコンピュータとよりを戻した。
と書かれており、CCC社倒産後はしばらくコンピュータに触れていなかったことがわかります。


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