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DECのPDP-1は価格破壊をもたらしたミニコンピュータだったのか---Part7

  ・PDP-1は100万ドルの価格帯のコンピュータと同程度の性能であったのか

 最後に、第二の疑問である、PDP-1は100万ドルレベルの価格帯のコンピュータと同程度の性能を12万ドルで実現したのかどうかについて検証してみます。

“A History of Modern Computing”のP127に、PDP-1について

Not as fast as the IBM 7090, but respectable and much faster than the drum based computers in its price class.
と書かれています。
また、”Computer Engineering”のP139には、当時の小型で安価な他社製のコンピュータとの比較として、
but they were slower because of their serial design which was dictated by the use of a drum as primary memory.
と書かれています。

 このように、同価格帯の他社の製品より高速であったけれども、IBMの最上位クラスの100万ドルの価格帯のコンピュータよりは低速であったということのようです。
つまり最高速ではないが、コストパフォーマンスに優れたお買い得品ということです。

 実際にどれくらいの速度であったかを客観的に示す定量的データは、一次資料には存在しませんでした。 各社のマニュアルにはスペックが載っていますが、ビット長も命令セットも異なるマシン間で客観的に比較できるものではありません。

 一次資料でないものであれば、http://www.jcmit.com/cpu-performance.htmのサイトに性能比較があります。
これを見ると、PDP-1はIBM 7090の1/30の性能であり、IBM1401の20倍の性能です。
確かに同価格帯のIBM1401と比べれば顕著に高性能であり、コストパフォーマンスが良いという印象です。
しかし、7090と比べると、ほぼ価格比と同じだけ性能が低いとも言え、少なくとも、100万ドルクラスのコンピュータと同程度の性能ではないという感じです。
ただ、このサイトは個人作成のものであり、どの程度信頼できる情報であるかは不明です。
あくまでも参考という扱いにしておきます。

 最終的に、確実な数値データは不明ながら、PDP-1が100万ドルクラスのコンピュータと同程度の性能を実現したわけではないことはわかりました。



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