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DECのPDP-1は価格破壊をもたらしたミニコンピュータだったのか---Part8

  ・結局PDP-1とは何だったのか

 結局のところPDP-1とは何だったのでしょうか。
コストパフォーマンスがよいというだけの製品だったのでしょうか。

 http://www.computerhistory.org/pdp-1/ken-olsen/に、DECの社長であるケン・オルセン氏に対してPDP-1に関するインタビューを行った時の言葉が載っています。
そこには

We had a dream of interactive computing.
と書かれています。
小さいとか低価格とかいうことは書かれていません。
他の一次資料にも、PDP-1が低価格であることを追及して作られたという記述は見当たりません。

 これらのことからすると、PDP-1の「売り」はインタラクティブなコンピュータであったことだと推測できます。
今では、コンピュータはインタラクティブなのが当たり前ですが、“A History of Modern Computing”の2章には、当時のコンピュータはバッチ処理のものであったことが詳しく書かれています。
そのような時代にあって画期的なインタラクティブコンピュータであったということなのでしょう。
確かに、バッチ処理のコンピュータでは電話の交換などの業務に適しておらず、ITTが多数のPDP-1を購入した理由も理解できます。

 そのような画期的な製品であればこそ、従来からのバッチ処理に慣れた多くのユーザーからは敬遠される傾向があったこと、その結果として必ずしも売れ行きは良くなかったことも理解できます。
いつの世にあってもパイオニアは苦労するものなのでしょう。



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