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UNIX初期の歴史再検証 --- Part1

 UNIXは、ベル研において、トランジスタ式コンピュータであるPDP-7上で誕生したことは以前に述べました。
その後UNIXはPDP-11上で発展し、C言語によって書き直され、バークレー版UNIXへと進展していきます。

 このあたりのUNIXの歴史についてはWeb上に多数の記述がありますが、それらは必ずしも整合性が取れていません。
たとえば、http://jibun.atmarkit.co.jp/ljibun01/rensai/gyoukai/054/02.htmlにある「IT業界の開拓者たち 第54回」では

UNIX第1版はPDP-7、PDP-9用で、UNIX第2版はPDP-11/20用、UNIX第3版はPDP-11/34/40/45/60/70用、 UNIX第4版はPDP-11/70用である。UNIXがゲームやワープロなどの趣味的な色彩を払拭し、OSとしての完成度を見せ始めるのは、UNIX第5版を経て1976年のUNIX第6版あたりになってからである。

と書かれています。

 しかし、、ベル研で作られた初期のUNIXであるResearch UNIXに関するWikipedia上の記述ではバージョン1は1971年になっており、UNIXに関する記述https://ja.wikipedia.org/wiki/UNIX#1970.E5.B9.B4.E4.BB.A3によると、このバージョン1はPDP-11/20上で動いたもののようです。
この内容は、「IT業界の開拓者たち」にある「UNIX第1版はPDP-7、PDP-9用」という記述と符合しません。

 また、WikipediaではResearch UNIX バージョン4は1973年11月になっていますが、http://www.hampage.hu/pdp-11/main.htmlに書かれている図によると、PDP-11/70は1975年の発売です。
「IT業界の開拓者たち」にある「UNIX第4版はPDP-11/70用である」という記述が正しいならば、1973年11月より前にPDP-11/70が発売されていることになり、つじつまが合いません。

 これらの記述においては、何を参考にして書いたのかのソースが不明確であり、情報の信頼性に疑問があります。
UNIXも登場から40年以上が過ぎており、リッチーなどの開発者が世を去っている状況であり、正確な情報が得られず、怪しげな情報が流布している可能性があります。

 そこで、今回は、可能な限り一次文献にあたり、UNIX初期の歴史を検証してみたいと思います。

 検証する内容は
・開発時期
・対応ハードウエア
・使用された状況(何台にインストールされたか)
・必要メモリ
です。

 また、調査対象とするのはバージョン7までです。
バージョン8以降はマニュアルに当初の開発者であるリッチーやトンプソンの名前がないうえに、開発時期も1980年代半ばであり、開発の主力はバークレーなどのベル研外部に移っていた時期になるため、今回の調査対象からは外します。
バージョン7のマニュアルには著者の名前記載自体がないので、今回の調査対象に含めるべきかどうかは微妙なところですが、バージョン6のインストールされた台数などはバージョン7の関連ドキュメントにしか書かれていないので、今回の対象に含めることとします。



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